

はじめに
「日本人の3人に1人」
一般的にそう言われるほど、「痔」はとっても身近な病気です。
最近、肛門疾患は生活習慣病の1つだと考えられています。
つまり、誰もが罹るありふれた病気なのです。
悩んでいるのは、あなた1人ではありません。
1人で悩まずに是非早期に診察を受けましょう。
院長 米倉 康博
肛門科
おしりの悩みをお持ちのかたの人口比率

当院の治療方針
当院では、痔の症状が悪化しているからといっていきなり手術による治療を検討することはしていません。
まずは、出来る限り外用薬、生活習慣、排便状態の改善などにより症状の改善に努めています。
治療をすすめていく中で、手術した方がよいと思われる時には、信頼のおける医療機関を紹介させていただいています。
女性の方へ
妊娠中は、ホルモンの影響で便秘になりやすく、さらに赤ちゃんが大きくなってきたり出産時のいきみで痔が悪化することが多くみられます。
妊娠中、授乳中の方でも安心して使うことのできる薬を処方させていただきます。
また、赤ちゃんやお子様でも便秘により裂肛になるケースが少なくありません。
お子様が、痔ではないかとお悩みの方もお気軽にご来院下さい。
当院では、患者さんが恥ずかしさを感じないで安心して診察を受けていただけるよう十分な配慮をしています。
早期受診こそが痔を早く確実に治します。
ひとりで悩まずにまずは受診してください。
診察の流れ
①受付
当院では、肛門科の検査は通常の診察とは別に個室を設けています。
待ち時間を短縮するためにも、予約制とさせていただきます。
予約がなくても診察を受けていただくことは出来ますが、待ち時間だけご了承ください。
まずは、受付カウンターにて保険証のご提示をお願いします。
肛門科受診に関わらず、すべての方に問診票にご記入いただいていますので、「痔なんです」とか「肛門科を受診したいのですが」とかご説明いただかなくても構いません。
当院では、患者さんのお名前をお呼びしていますが、番号での呼び出しを希望される方は、問診票に記載する場所を設けていますので、ご記入ください。
お悩みの症状や、今まで治療したことのある方はできるだけ詳しくご記入ください。
②診察室
問診は、あなたにとってどういう症状が1番苦痛となっているのか?
どういう治療を希望しているのか?
前もってご記入いただいた問診票を確認しながら、お話を伺います。
緊張なさらずに、お困りのことや質問、思いなどお話ください。
③検査(直腸鏡・肛門鏡)
2階の処置室にて、横向きで検査します。下着も全部脱がずに少しずらすだけで検査を受けていただけます。
おしりを出すのが恥ずかしい方へは、検査用のパンツもご準備しています。
※検査用パンツは有料です。(130円)
筒状の器械を使い、肛門~直腸の状態を観察します。痛みはほとんどありません。
女性の方で、生理周期と重なってしまった場合でも、検査前にその旨を伝えていただきましたら、診察に支障はありませんのでご安心ください。
④説明
1階の診察室で、医師から診断と治療方針の説明を行います。
わかりやすく画像と図を用いて説明していきます。
お薬の使い方や飲み方も、わかりやすく説明させていただきます。
わかりづらい事がありましたら、なんでもお聞きください。
来ていただいた方が、お帰りの際には少しでも気持ちが楽になるように努めていきたいと思っています。
どうぞお気軽にご来院ください。

痔の種類と症状一覧
痔疾患の種類 | 内容 | 症状 | ||
---|---|---|---|---|
いぼ痔 | 血栓性外痔核 | 肛門の外側の静脈に血栓(血のかたまり)を形成したもの | 腫れ、痛み(後に出血) | |
内痔核 | 1度 | 肛門の奥の粘膜の静脈の腫れたもの | (出血) | |
2度 | 内痔核が排便時脱出するが自然に戻るもの | 脱出(出血) | ||
3度 | 排便時に脱出。指で押し込まないと戻らない | 脱出(出血、痛み) | ||
4度 | 常に脱出している。押し込んでも戻らない | 脱出(出血) | ||
嵌頓痔核 | 内痔核が脱出し、急激に腫れたもの | 腫れ、痛み | ||
きれ痔 | 裂肛 | 硬く太く便が出るため肛門上皮にできた切り傷 | 排便時の痛み わずかな出血 |
|
肛門潰瘍 (肛門狭窄) |
裂肛をくり返ししていくうちに肛門がせまくなり太い便が出にくくなった状態 | 排便時、排便後の痛み わずかな出血 |
||
痔瘻 | 肛門周囲膿瘍 | 直腸と肛門の境目の小さなくぼみ(肛門小窩)から便の中の細菌が侵入して感染をおこし、膿がたまったもの | 痛み、腫れ、発熱 | |
痔瘻 | 肛門周囲膿瘍が出口を生じ形成された直腸と肛門の 外側を交通する膿の管 |
うみ | ||
肛門掻痒症 | 痔核、痔瘻、裂肛などが慢性化して、分泌物が出るようになり 肛門のまわりが刺激されてかぶれたもの |
(肛門周辺の) かゆみ、痛み |
痔のトラブルに隠れている病気
「多分、痔だろう」と思って安易に薬局などで薬を買ってつけておこうと考えてしまう方も多いと思います。
痔ともっとも間違えやすい病気は大腸がんです。
症状は、便に血が混じる、便秘や下痢を繰り返す、残便感があるなど。
当院でも、痔と思って検査したら大腸がんや腸の特殊な病気だったということも珍しくありません。
おしりのトラブルに隠れている病気:大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚びらん、虚血性大腸炎、大腸憩室炎など
当院では、血液検査、腹部超音波検査、レントゲン検査、便潜血検査を行っています。
内視鏡検査(大腸ファイバー)については、信頼できる医療機関を紹介させていただきます。
痔を予防するための10か条
- おしりは、いつも清潔にしましょう。
排便後、肛門をきれいにしておかないと細菌が繁殖します。
- 長時間、同じ姿勢を続けないようにしましょう。
座りっぱなし、立ちっぱなしの姿勢は肛門にうっ血をきたします。
- おしりや腰を冷やさないようにしましょう。
おしりや腰を冷やすと、肛門の血行が悪くなります。
- 便秘にならないよう気をつけましょう。
便秘をすると便が太く、固くなり、排便時に肛門を傷つけやすくなります。
- 排便のときは、無理にいきまないようにしましょう。
排便時にあまりいきむと肛門にうっ血、出血をきたします。
- 毎日、おふろに入りましょう。
おふろに入り温めると肛門部の血行が良くなり、清潔にもなります。
- 下痢をしないよう気をつけましょう。
下痢は肛門に刺激を与えるほか、不潔にもなり細菌感染にもつながる場合があります。
- アルコールや刺激物等は控えめにしましょう。
お酒などのアルコール類、刺激物は肛門を刺激し、うっ血の原因にもなります。
- 長時間のドライブは避けましょう。
特に長時間のドライブは肛門の血行が悪くなり、うっ血をきたします。
- 医師に気軽に相談しましょう。
痔かな?と思ったら、すぐに専門医に相談することが大切です。
痔は、生活習慣病です。 薬や手術といった治療とともに生活習慣の改善が予防や治療のいちばんの近道となります。
痔の予防はもちろんのこと、痔の悪化・再発を避けるためにも、日常生活での健康管理を心がけましょう。